
Concept

Diversity
心ある世を、つくる。
私の故郷・関門海峡の景色は、まさに、彼岸と此岸の合わせ鏡。そのほとりで、
「みんなちがって、みんないい」と初めてうたった詩人・金子みすゞを、私は敬愛しています。
常に「向こう岸」に思いを馳せ、対岸からこちらを見る目線を、保つことができるか?
みすゞの作品は、100年の時をこえ、現代のわたしたちに問いかけています。
ダイバーシティ・マネジメントを専門とする私は、
企業や大学の関係者が集まって、これからの時代の働き方について議論する、
ある地方公共団体の会議に参加し、政策提言を行っています。
経営者時代、「年長の男性が上に立つ」という日本の企業社会の常識に、疑問を抱きました。
そこで、社外の専門家の協力も得て、自社の経営会議のメンバーの半数まで女性を増員。
年代も、20代から70代までというバラエティ豊かな人員構成に変えていきました。
会議は明るく活発なものになり、お店の見た目から、まったく違うものに変わっていきました。
「結果を出したから、出さなかったから」
「歳が若いから、年長だから」「女性だから、男性だから」
「障害があるから」「国籍、出身地が○○だから」
といった理由で、ひとりひとりの個性や、その人のテンポ、ペースに関係なく、
相手を短絡的に「評価」することは、あってはならないと思います。
誰しも、あるいはどんな組織も、完全無欠な存在ではありません。
でも、それぞれに、一生懸命です。
時の運や巡り合わせによって、結果が出ることもあれば、出ないこともあります。
ひとりひとりが、自分自身を理解し、ゆるすこと。
視点を柔軟に動かして、相手の立場に立ち、そのペースを尊重すること。
誰の、どんな行動にも、その人なりの理由、事情、背景があることに、思いを寄せること。
これが、差別や偏見から自由な、多様性を許容する社会に近づく道なのだと思います。
日本、そして世界に、こうした考え方が広まる 「心ある世」を、私は夢見ています。
