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「地域知財勉強会」にて登壇

  • 執筆者の写真: Kazuhiro Hashimoto
    Kazuhiro Hashimoto
  • 10月12日
  • 読了時間: 3分

北九州市で開業している中小企業診断士・二級知的財産管理技能士の橋本和宏です。


九州経済産業局の知財経営支援事業をきっかけに、地元の専門家がネットワークを形成して、お互いの知見を共有する「地域知財勉強会」という集まりを開いています。発起人は、ソシデア知的財産事務所の代表である小木智彦弁理士。メンバーは弁護士や弁理士、特許技術者、デザイン経営やマーケティングの専門家、広告代理店のベテラン、そして事業会社の経営層など、まさに多士済々の顔ぶれです。福岡市でリアルに集まりつつ、遠隔地のメンバー向けにオンラインでも配信するスタイルを基本として、おおよそ月1回程度開催されています。


2025年10月8日の第5回は、いつもの福岡市を離れ、私が仕事場としている北九州市小倉北区のコワーキングスペース「COMPASS小倉」にて開催。「知財専門家のための経営と心理のお話」と題して、話題提供とファシリテーションを私が担当させていただきました。


私からの話題提供の骨子は以下のようなものでした。


1. 中小企業診断士二次試験の模擬問題


   * 経営戦略・組織文化・財務・知財が絡まった総合的な課題を抱える経営者父娘のケース

   * 経営とは総合格闘技:「群盲、象を評す」


2. 経営学入門:そもそも「強み」とは


   * SWOT分析の再定義:「なんとなくSWOT」からの脱却

   * 外部要因:ポーターの5 Forces model(新規参入・代替品・買い手・供給者・競争業者)。

   * 内部要因(1):知的資産経営フレームワーク(人的資産・組織資産・関係資産)。

   * 内部要因(2):VRIOフレームワーク(Value・Rarity・Imitability・Organization)

     → 知財は「模倣困難性(I)」を高める組織資産。


3. 経営と知財のつながり


   * 「顧客が選ぶ理由」に直結する知財は強い。

   * 知財情報を用いたSWOT分析が補助金申請の説得力を高める。

   * 5 Forces+VRIOを組み合わせ、戦略立案・市場調査・補助金支援に応用。

   * ケース例

     * 特許情報からの市場分析:スタートアップに提供した、大手見込み客の出願動向分析

     * 特許情報からの競合分析:テキストマイニングツールを活用した出願内容の可視化


4. 達人精神科医・神田橋條治のサポート論


   * 「治す」のではなく「支える」:焦らず、患者のペースに寄り添う。

   * 「治そう」と焦る治療者ほど逆効果。

   * 問題を共有し、「一緒に困る。」

   * 患者を反省させすぎるとエネルギーを奪う。むしろ、自身の長所や能力への気づきを促す。


5. 私の実務:組織変革支援の実例


   * 中小企業の「症状と処方箋」:

     * プロダクトアウト病 → マーケティング・市場調査支援。

     * ワンマン病 → 組織化・職務権限規程づくり。

   * 成功事例:組織再編と教育カリキュラム策定が、行政コンペ初勝利につながった。


最後の問いかけ:タイムマシン・クエスチョン(2035年秋)

      九州が知財経営先進地域となった未来を想像し、各自の役割を描く。


専門性の高いメンバーが集まるディスカッションパートは素晴らしい時間となりました。


メンバーからの発言例:

「クライエントを問い詰めまくる専門家の姿をたまたま見て、それを反面教師にした。」

「デザインっていうのは順番をととのえること。順番は大事」

「プロジェクトマネジメントにおいては、根回しも大事。根回しはコミュニケーションのデザイン」

「中小企業診断士の養成課程で知財のことをまったく扱わないことに疑問を感じる」

「法律相談では、内容や場面に応じて、即断即決モードと共感傾聴モードを使い分けている」

「特許情報の分析をするとき、出願件数だけ数えて可視化するのは片手落ち。内容も見ないとダメ」


次回以降の開催も楽しみです。


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